季節は春、
そこは森の中の拓けた場所
そこで一人の少年が泣いていた。
「怖いよぉ・・・」
そして泣く少年の側に同じくらいの年の少年が立っていた。
「志貴、泣くなって・・・俺がついてるからさ」
「ほんとぉ?」
志貴と呼ばれた少年は涙目で側に立っていた少年を見る。
「あ、ああ・・・本当だ」
心なしか少年の頬が赤い。
「四季兄ちゃん、ほんとにホント?」
「うっ・・・しつこいなぁ・・・ホントにホントだ」
「分かった・・・じゃあ行く・・・」
「ヨシ、それでこそ弟だ」
「えう〜・・・何か騙された気がする・・・」
「良いから行って来い。罰ゲームなんだからな」
「うん・・・でも、おとーさん、あんな呼び方して怒らない?」
志貴はよほど怖いのか身震いをする。
「ああ、怒らないって。俺を信じろ」
「うん。分かった・・・」
コンコン
「・・・・・・いい?」
志貴が書斎のドアを開け僅かに顔を出す。
「何だ?」
重厚な書斎机に向かい書類を見ていた父、槙久がジロリと志貴を見る。
「僕のこと好き?」
槙久は何も答えない。
「・・・・・・」
その表情は険しいものだった。
「僕、おとーしゃんのことだ〜い好きだよ」
志貴の言った『おとーしゃん』の一言にビクリと体を震わせた槙久だったが、何も言わずに更に険しい表情をする。
「おとーしゃん?」
「・・・・・・・」
───沈黙───
「おとー・・・しゃん」
志貴の目は既に涙目になっていた。
「・・・・・・も」
槙久がようやく重い口を開く。
「も?」
「萌えええええっっっっ!!」
「!!!???」
突然絶叫と共に志貴に抱きつこうとする槙久。
そして
「ッシャア!!」
同時に槙久の顔面に四季の跳び蹴りが炸裂した。
「このド外道が!志貴は俺のだ!」
「ぇ・・・?」
四季の言葉に驚く志貴。
「───大丈夫だったか?」
「う、うん・・・でも四季兄ちゃん鼻血・・・」
志貴を怖がらせまいと綺麗な笑顔の四季だったがその左の鼻からは赤いモノがいい感じで流れていた。
「志貴があまりにもラブリーだったからな!」
ビシッとグッドマークを突き出す四季によく分からないが頷く志貴。
「──────親に手をあげよって・・・四季、勝てると思ったのか?」
ゴゴゴゴ・・・・・・と効果音でも付きそうな感じで怒りを露わにする槙久に四季は、
「───俺のモノを俺のモノといって何が悪い・・・親はいずれ倒されるモノ・・・早いか遅いかの差だ!」
ビシッと槙久を指さす四季。
しかし鼻血は出したままだ。
「面白い!貴様の力見せて貰おう!!そして志貴ちゃんは儂の可愛い実子になってもらう!!」
「貴様なんかの好きにはさせねぇ!!」
そして四季は反転し、槙久と死闘を繰り広げた。
「あうぅぅ・・・・・・」
何も出来ずにオロオロする志貴。
そこに軋間が姿を現した。
「・・・・・・・・・」
「あ、軋間おじさん」
手には何か紙袋を持っている。
そしてその紙袋を開けると──────
「・・・・・・土産だ」
「あっ、メイプルマフィンだ!ありがとう軋間おじさん」
「・・・まだ温かい・・・早く食べろ」
「うんっ」
「────────────────────軋間が、笑っているだと!?」
「────────────────────────こ、怖ぇぇ・・・」
満面の笑みでメイプルマフィンを頬張る志貴と微笑みながら志貴の頭を優しく撫でる軋間の姿に死闘を繰り広げていた槙久と四季は戦いを止め、ただ恐ろしいモノを見るような目でその光景を見ていた。
「・・・なぁクソ親父・・・・・・」
「・・・なんだ変態息子・・・」
「うちの家で最強なのってひょっとして・・・」
「間違いない───」
二人は確信した。
遠野家最強の称号を持つ者は一番戦いを好まず、唯一外部の者である志貴であると───
───そして七夜月君に続く・・・?
あとがき?
ども、初めての人は初めまして片月と申します。
この度はこんな馬鹿げた挙げ句に宣伝っぽい代物を読んでいただきありがとうございます。
何となく電波に身を任せて書いた代物なので無茶苦茶です。
・・・・・・腐女子回路でも設置されたかな?
ま、まぁ私が書くモノ自体ロクな物じゃありませんので見てしまった人は
「ああ、嫌なモノ見たぜチクショー」と思ってください。
間違っても黒獣様に苦情を出さぬようオネガイシマス。では〜