戦場に轟音を立て巨大な緋色の華が咲く。
私が放ったミサイルランチャーの3発分に匹敵するほどの熱量。
あの『向こう見ず』の声が聞こえたとたん、黒い化け物が騎屍団の真横から現れ、
死徒たちを食いつぶしながらディオルと名乗った団長へと肉薄。
迫る化け物は私たちの代わりに彼の剣の餌食となり、土煙を盛大に吹き上げ相殺された。
そして、今度はこの大爆発。
爆発で再び巻き起こった土煙で相変わらず視界は最悪。
私たちは結界を張っているから土煙に攫われることは無いが、騎屍団はそうではない。
唐突すぎる大事の連続と、司令塔の消失という事態に一部の隙も無かった統率は見る影も無い。
……いや、実際は土煙で見えないので視認はできないのですが…。
だが、声が聞こえる。
悲鳴に近い、情けない声。
さすがにこんな異常事態は想定していなかったのか…。
何にせよ、こちらに意識が向けられていない絶好の好機。
これを逃す手は……無い。
氷月
〜第十四話:復讐騎〜
「攻守変換